1歳までに接種推奨の予防接種
当院では大切なこどもたちの健康を守る第一歩として、予防接種を非常に重視しています。赤ちゃんの免疫は、お母さんからもらったものが生後すぐから徐々に減少し、生後6ヶ月ごろにはほとんどなくなります。そのため生後2ヶ月を迎えたら、できるだけ早く予防接種を開始することが推奨されています。1歳までの時期は、受けるべきワクチンの種類が非常に多く、スケジュール管理に不安を感じる保護者の方も少なくありません。当院では予防接種に特化したアプリ(harmoワクチンケア)をおすすめしつつ、最適な接種スケジュールを提案しています。
※接種の際には母子手帳を必ずお持ちください。接種間違いを防ぐため、母子手帳をお忘れの場合は接種ができません。守山市以外では予診票が先に配られている市もありますので、忘れずお持ちください。
1歳までに受けておきたい予防接種の種類と重要性
1歳のお誕生日を迎えるまでに推奨されている予防接種は、こどもたちの命を守るために非常に重要な役割を果たしています。これらはワクチンで防げる病気(VPD)と呼ばれ、もし感染してしまうと重症化したり、後遺症が残ったりするリスクがある病気ばかりです。赤ちゃんの体はまだ未発達で、ウイルスや細菌に対する抵抗力が弱いため、適切な時期に免疫をつけてあげることが大切です。
現在、生後2ヶ月から接種が始まる主なワクチンには、以下のものがあります。
| ワクチン名 | 予防できる病気 |
|---|---|
| ロタウイルスワクチン | ロタウイルスによる重症胃腸炎 |
| 五種混合ワクチン | ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ・Hib感染症 |
| 小児用肺炎球菌ワクチン | 肺炎球菌による細菌性髄膜炎、敗血症、肺炎 |
| B型肝炎ワクチン | B型肝炎ウイルスによる肝炎・将来の肝臓がん |
| BCGワクチン | 結核(特に重症な結核性髄膜炎など) |
これらのワクチンは、多くが複数回の接種を重ねることで、より強固な免疫を獲得できるようになっています。そのため、決められた間隔を守って、計画的に進めていくことが必要です。
特に1歳未満の赤ちゃんが感染すると怖いのが「百日せき」や「Hib、肺炎球菌による髄膜炎」です。これらは呼吸が止まってしまったり、脳に重大なダメージを与えたりする可能性があるため、早期の接種が強く推奨されています。
同時接種を危惧される保護者の方々もおられますが、五種混合ワクチンはすでに5種の同時接種です。現在必要な多くのワクチン接種のスケジュールと、繰り返し通院する手間や外出による感染リスクを考慮すると、同時接種を避ける必要性はないと言えます。それでも1本ずつ接種したいという保護者のお気持ちは尊重いたしますので、どうぞ気兼ねなくご相談ください。
各種ワクチンの特徴と副作用への対策
ロタウイルスワクチン
ワクチンが定期接種(無料)化されてから、ロタウイルスによる脱水症状での入院はほとんど見られなくなりました。ワクチンにより発症を抑制できるだけでなく、発症しても症状を軽くして重症化(けいれんや脳炎・脳症などの合併症をきたすこともある)を予防する効果が確認されています。当院では接種回数が少なくて済むロタリックス(2回接種)を推奨していますが、ロタテック(3回接種)の接種も可能です(ご希望の方はご連絡ください)。
重大な副作用に「腸重積」があります。これは腸が重なって詰まってしまう病気で、嘔吐や強い痛み、血便などの症状が見られます。ワクチン接種による発症リスクは極めて低いものの、メリットが大きく上回るため接種が推奨されています。詳細は接種前に外来でご説明いたします。
五種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)
2024年から導入された五種混合ワクチンは従来の四種混合にHibワクチンが加わったもので、Dはジフテリア、Pは百日咳、Tは破傷風、IPVはポリオワクチン、Hibはインフルエンザ桿菌b型ワクチンを指します。特に百日せきは現在も流行することがあり、早期の免疫獲得が重要です。小学校入学前後になるとワクチンの効果が減衰するため、入学前に三種混合ワクチンを任意接種して周囲(特に本人、お友だちの1歳未満のきょうだい)への感染を防ぐことも大切です。当院ではこの自費接種を安価に設定しておりますので、ぜひご検討ください。
小児用肺炎球菌ワクチン
肺炎だけでなく、重症の中耳炎や細菌性髄膜炎の原因となる菌を防ぎます。菌の型に合わせて数年ごとにワクチンがアップデートされており、高い予防効果を発揮します。副反応として、他のワクチンよりも接種部位の腫れや、1日以内におさまる発熱が見られやすい傾向にあります。
B型肝炎ワクチン
家族内や保育園などでの日常生活を通じた感染を防ぐために、全ての乳児に推奨されています。B型肝炎は一生を通じて感染が持続したり、将来的に肝臓がんの原因になったりするため、生後2ヶ月からの開始をおすすめします。
BCGワクチン(結核予防)
「スタンプ注射」として知られる結核の予防接種です。生ワクチン(弱らせた結核菌が含まれる)であるため、免疫機能が発達する生後5ヶ月以降の接種が推奨されています。接種後1〜2週間で赤くなり、4週後には膿を持つことがありますが、これは正常な反応です。2〜3ヶ月かけて徐々に落ち着いていく特殊な経過をたどります。接種前にこれらの反応と注意点についてもしっかり説明いたします。
初めての予防接種をスムーズに進めるステップ
-
生後2ヶ月での初回接種
まずはロタウイルス、五種混合、肺炎球菌、B型肝炎の同時接種からスタートしましょう。 -
次回のスケジュール確認
接種時に、次回の予約時期やワクチンの種類について医師・スタッフが詳しくご説明します。 -
1歳までの計画的な接種
母子手帳や管理アプリを活用し、適切な間隔で全ての定期接種を完了させます。
費用と接種対象エリアについて
予防接種には、自治体が費用を負担する「定期接種」と、自己負担が発生する「任意接種」の2種類があります。1歳までに受けるほとんどのワクチンは定期接種に含まれており、無料で受けることができます。当院では守山、野洲、草津、栗東にお住まいの方は手続き不要で接種が可能です。
一方で、任意接種のワクチンについては、医療機関ごとに料金が設定されています。例えば、インフルエンザワクチン(生後6ヶ月以降)などがこれに該当します。当院での任意接種の料金については、こちらをご覧ください。
1歳までの予防接種についてのよくある質問
Q1. 種類が多すぎて覚えられません。スケジュール管理はどうすれば良いですか?
A1. まずは生後2ヶ月になったら、ロタウイルスワクチン、五種混合ワクチン、肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチンを接種してください。以降のスケジュールについては外来にて説明させていただきます。
Q2. 同時接種をしても副作用は強くなりませんか?
A2. 複数のワクチンを同時に接種しても、それぞれのワクチンの効果が落ちたり、副反応がひどくなったりすることはないことが医学的に確認されています。むしろ、早く免疫をつけることができ、こどもの負担も軽減できるため、日本小児科学会でも推奨されています。
Q3. 接種した後に熱が出たらどうすれば良いですか?
A3. ワクチン接種後、体の中で免疫を作ろうとする反応として、発熱することがあります。多くは1~2日で自然に下がりますが、ぐったりしている、水分が摂れないなどの症状がある場合は、すぐにご連絡ください。夜間や休診時の対応についても、事前にご説明いたします。
最後に
赤ちゃんが生まれてからの1年間は、育児に追われ、心身ともに大変な時期だと思います。その中で、何種類もの予防接種をスケジュール通りにこなしていくのは、保護者の方々にとって大きな負担かもしれません。しかし、生後2ヶ月から1歳までの間にしっかりと免疫をつけておくことは、こどもたちの将来に向けた「一生のプレゼント」になります。
予防接種は、病気を未然に防ぐ「予防医学」の要です。当院ではこどもたちの健やかな成長を支えるためにエビデンス(医学的根拠)に基づいた安全な医療を提供します。それと同時に私自身も一人の親として、保護者の方々の不安や疑問に寄り添いたいと考えています。どんな些細な悩みでも構いませんので、診察室で気軽にお話しください。
