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神経発達症

こどもたちの成長の過程で「ほかの子と少し違うかもしれない」と感じたり、学校の先生から集団生活での様子を指摘されたりして、不安を感じることがあるかも知れません。私ぱんだキッズファミリークリニックでは、小児科専門医であり小児神経専門医でもある院長が臨床心理士と共に、こども一人ひとりの発達の特性を丁寧に診させていただきます。神経発達症という言葉は、かつては発達障害と呼ばれていましたが、現在では脳の機能的な育ちの個性を表す言葉として広く使われるようになりました。早期に特性を理解することは、将来の生きづらさを減らし、こどもたちが自分らしく笑って過ごせる環境を整えるための第一歩となります。

神経発達症の症状について

神経発達症の症状は、こどもの年齢や成長のステージによって多種多様に現れます。乳幼児期であれば、視線が合いにくい、言葉の出がゆっくりである、指差しをしないといったサインがみられることがあります。また、抱っこを嫌がったり、特定の音や感触に非常に敏感であったりする感覚の偏りも、臨床でよく見られるパターンのひとつです。

集団生活が始まる幼稚園や保育園、小学校低学年の時期になると、また違った形で症状が目立つようになります。例えば、じっと座っていられない、順番を待つのが難しい、衝動的に動いてしまうといった行動面の特徴や、お友達とのコミュニケーションがうまくいかず、トラブルになりやすいといった対人面での悩みです。

また、読み書きや計算といった学習面で、知能に遅れがないにもかかわらず特定のことだけが極端に苦手という場合もあります。これらの症状は、決してお子さんの努力不足や保護者の方の育て方のせいではありません。脳の情報の受け取り方や処理の仕方に、生まれ持った特性という名の偏りがあるために起こる現象なのです。

お家では落ち着いているけれど学校では落ち着かない、あるいはその逆といった、場面による違いも含めて全体像を把握することが大切です。

神経発達症の原因について

神経発達症の原因については、現在も世界中で研究が進められていますが、完全には解明されていません。しかし、多くの研究結果から、保護者のしつけや愛情不足が原因ではなく、脳の神経系の育ち方に関する先天的な機能の偏りが関係していると考えられています。特定のワクチンとの因果関係も全く証明されていません。医学的な視点では、遺伝的な背景と環境的な要因が複雑に絡み合っていると推測されています。

胎児期(妊娠中)から乳幼児期にかけての脳の発達過程で、何らかの理由により神経細胞の構築に違いが生じることがあります。この違いは「故障」ではなく「個性的な配線」と捉えるとよいかも知れません。例えば、ある情報の処理はとても速いけれど、別の情報の整理は苦手といった具合です。

原因を特定すること以上に、今お子さんの脳の中で何が起きているのか、どのようなサポートがあればスムーズに活動できるのかを考えることが、治療や支援の鍵となります。

神経発達症の病気の種類について

神経発達症にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。代表的なものを挙げます。

  • 自閉スペクトラム症(ASD)・・コミュニケーションの難しさや、特定の物事への強いこだわりが特徴です。
  • 注意欠如・多動症(ADHD)・・不注意、多動性、衝動性の3つを主な特徴とし、集中が続かなかったり、じっとしていられなかったりします。
  • 学習障害(LD)・・読み書きや計算など、特定の学習能力の習得に著しい困難を示します。
  • チック症・・本人の意思とは関係なく、素早い体の動きや発声が繰り返される状態です。

これらの中には、複数の特性が重なり合っているお子さんも少なくありません。ASDとADHDの両方の特徴を持っているといったケースは、臨床現場ではむしろ一般的です。それぞれの特性がどの程度の割合で現れているかは人によって異なり、まさに一人ひとり違うグラデーションのようになっています。

また、知的発達症(知的な発達の遅れ)を伴う場合もあれば、知能指数は高いのに日常生活で大きな困難を感じている場合もあります。大切なのは、どの診断名に当てはまるかという「ラベル貼り」をすることではなく、こどもの状態を正確に把握して、適切な支援の手立てを見つけていくことが大切なプロセスです。

神経発達症の治療法について

神経発達症の治療のゴールは、症状を完全に消し去ることではありません。お子さんが自分の特性を理解し、周囲の環境と調整をつけながら、自信を持って生活できるようになることが一番の目的です。医学的な言葉で言えば、症状が落ち着いて安定した状態である寛解を目指し、社会に適応していく力を育みます。

治療の柱となるのは、主に以下の3つです。

  • 環境調整と療育・・お子さんの特性に合わせて、お家や学校での接し方、環境の整え方を工夫します。
  • 心理社会的支援・・本人の困り感に寄り添い、感情のコントロール方法やソーシャルスキルを学びます。
  • 薬物療法・・生活の困難さが強く、二次的な心理的問題が起きている場合には、お薬の使用を検討することもあります。

当院では、特にお子さんを取り巻く「環境」を整えることを重視しています。指示を出すときは短く具体的に伝える、視覚的なスケジュール表を使うなど、少しの工夫でお子さんの「できた!」という成功体験を増やすことができます。

薬物療法については、不安を感じる保護者の方も多いかもしれません。しかし、ADHDなどの症状に対して適切にお薬を使うことで、脳内の情報伝達をスムーズにし、本人が本来持っている力を発揮しやすくなるというメリットがあります。当院では薬物療法が必要と判断した場合、投薬の開始は専門病院へお願いすることがあります。

お子さんの将来の見通し、いわゆる予後は、周囲の理解とサポートの早さに大きく左右されます。予後とはその後の病気の経過や見通しのことですが、早期からの適切な関わりによって、将来的なうつ病や不登校などの二次障害を防ぐ可能性が高まります。

神経発達症についてのよくある質問

Q1. まだ小さいのですが、診断を受けるのは早すぎませんか?

A1. 診断名を確定させることよりも、今の困りごとに対して早くサポートを始めることの方が重要です。健診などで指摘を受けた場合も、早めにご相談いただくことで、こどもたちが自信を失う前に対策を立てることができます。

Q2. 遺伝するのでしょうか?私の育て方が悪かったのでしょうか?

A2. 親御さんの育て方が原因で神経発達症になることはありません。遺伝的な要素が関与する場合もありますが、それは数ある体質の一つに過ぎません。ご自分を責める必要は全くありませんので、まずは地域の支援センターやクリニックを頼ってください。

Q3. 学校の先生にはどのように伝えればよいですか?

A3. お子さんの得意なことと苦手なことを整理し、どのような配慮があれば学校生活が送りやすくなるかを具体的にお伝えするのが良いでしょう。当院では学校への情報提供や診断書の作成なども行っておりますので、お気軽にご相談ください。

こどものこと外来

発達の特性を持つお子さんの子育ては、時に非常に大きなエネルギーを必要とし、保護者の方が孤独感や不安を感じることが少なくありません。

当院が大切にしているのは、お子さんの「できないこと」を数えるのではなく、「どうすればできるか」を一緒に考える姿勢です。神経発達症の診療には正解がなくご家庭によってベストな形は異なります。じっくりとお話を伺い、ご家族の気持ちに寄り添った診療を行いたいと考えています。少しでも肩の荷を軽くできるような場所でありたいと願っています。

こどもの可能性は無限大です。特性は決してマイナス面だけではありません。ユニークな視点や、驚くような集中力を持っていることもあります。その輝きを消さないように、そしてご家族皆さんが笑顔で過ごせるように、お手伝いさせていただきます。

こどものこと外来は小児神経専門医である院長と小児専門の臨床心理士が協力して行う、こどもの発達に関わる相談外来です。

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