熱性けいれん
熱性けいれん(熱性発作)とは
通常38度以上の高熱時に、全身のけいれん(手足をギューッと突っ張ったり、ガクガクと動かしたり)や、全身の脱力・意識消失などをきたす疾患で、ほとんどは5分以内に収まります。
以前は単に「熱性けいれん」と言っていましたが、必ずしも「けいれん」ではなく、脱力したりぼーっとするのだけが症状の時もあるため、今は「熱性発作」と呼ぶようになってきました。
複雑さを避けるため、ここでは全て旧来の「熱性けいれん」としてお話させていただきます。
熱性けいれんは基本的に「良性」の疾患で、熱のたびにけいれんを起こしていたようなお子さんでもほとんどは小学生以降は熱があってもけいれんしなくなり、「てんかん」などに移行する患者さんは少ないことが様々なデータでわかっています。
原因と頻度
発熱があれば熱性けいれんを起こす可能性があります。中枢神経の感染症(脳炎や髄膜炎)は非常にまれですが、直接脳にダメージを与えてけいれんを起こすこともあり、この場合は熱性けいれんとは呼ばないことになっています。
小児では発熱のほとんど全ては感染症ですので、熱性けいれんの原因の多くは感染症に伴う発熱ということになります。特に、インフルエンザや突発性発疹で熱性けいれんを起こす患者さんが多くおられます。
また、日本人はおおむね10人に1人弱の子どもが熱性けいれんを経験し、遺伝性があります(親子やきょうだいで熱性けいれんを経験したことのある患者さんが多い)。
再発について
初回の熱性けいれん後、またかぜなどで高熱になってけいれんを起こしてしまうことがあり、これを熱性けいれんの再発と言います。
熱性けいれんの再発は全体でみると3人に1人程度ですが、いくつかの要因があるとより高く、要因がないとより低くなります。
要因とは
・熱性けいれんの家族歴(両親、きょうだい)
・生後1歳未満に熱性けいれんの初発があった
・けいれん後1時間以内にけいれんを繰り返した
・39度以下でけいれんした
これらの要因が全く無い場合は、約15%の再発率になると言われています。
予防と治療
熱性けいれんを「治す」ことはできません。発熱時に適切に治療することでけいれんをある程度予防することができます。
まず、「解熱剤」についてですが、熱でけいれんするのだから解熱剤を使用する方がよいのでは?
と考えたくなりますが、解熱剤には熱性けいれんを予防することはできず、また解熱剤を使用することで体温が上下してしまうから熱性けいれんが誘発されてしまう、というデータもありません。
これは日本小児神経学会のガイドラインにもしっかりと書かれております。
ですので、解熱剤は本人の状態によって「しんどそうなら使用する、水分をしっかり摂れてよく寝れているようなら使用しない」が正しい使用方法だと考えます。
次に「抗けいれん薬」についてです。
発熱の初期に「抗けいれん薬」を投与することによって、起こるかもしれない熱性けいれんを予防する効果が証明されています。
予防効果が示されている一方で、抗けいれん薬は中枢神経を抑制する作用があるため眠気やふらつき、あるいは逆に興奮したりする副作用を認めることがあります。
初回の熱性けいれん後、あるいは複数回熱性けいれんを起こしたお子さんでも、予防投与が必要なお子さんは限られておりよく医師と相談してください。
最後に
熱性けいれんは予後良好の疾患とはいえ、けいれんの間は目線が合わず、一点を凝視、あるいは上や左右を向き続ける状態になり、呼吸も絶え絶えになるので唇の色が青黒く(チアノーゼ)なったりします。
一度でもけいれんを見た保護者の方は、もう二度と見たくないと思う気持ちも十分理解いたします。
再発のことや予防投与について説明をお聞きになりたい場合は、ぜひ院長底田にお伝え下さい。
