メニュー

溶連菌感染症

こどもたちが急に「のどが痛い」と言い出したり、高い熱が出たりしたときに、小児科でよく診断される病気の一つに溶連菌感染症があります。この病気は、正式には「A群β溶血性連鎖球菌」という細菌がのどに感染することで起こります。一般的なかぜとは異なり細菌が原因であるため、適切な抗菌薬(抗生剤)による治療が欠かせません。後から腎臓や心臓に影響を及ぼす合併症を引き起こすこともあるため、最後までしっかり治療することが大切です。診断には数分で結果が出る迅速キットを使用します。

溶連菌感染症の症状について

溶連菌感染症の主な症状は、突然の発熱とのどの痛みです。一般的な風邪と違って、せきや鼻水があまり出ないのに、のどだけが強く痛むのが特徴の一つです。こどもののどを観察すると、真っ赤に腫れていたり、白いカスのようなものが付着していたりすることがあります。また、舌の表面にブツブツができて、まるで果物のイチゴのようになるイチゴ舌と呼ばれる特有の症状が見られることもあります。

全身の症状としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 発熱
  • 首のリンパ節が腫れて、触ると痛がる
  • 体に小さくて赤い発疹(ほっしん)が出ることがあり、かゆみを伴う場合もあります
  • 頭痛や腹痛、嘔気(吐き気)を伴うこともあります

熱が下がった後に、指先の皮が薄くむけてくることも溶連菌感染症によく見られる経過です。小さなこどもの場合、自分の言葉で「のどが痛い」と伝えられないこともあります。機嫌が悪い、食欲がない、飲み込みにくそうにしているといった変化に注意してあげてください。

溶連菌感染症の原因について

溶連菌感染症の原因は、溶血性連鎖球菌という細菌です。この細菌にはいくつかの種類がありますが、こどもたちの間で流行するのは主に「A群」と呼ばれるタイプです。ウイルスによるかぜとは異なり、細菌がのどの粘膜に付着して増殖することで強い炎症を引き起こします。感染力が比較的強く、特に保育園や幼稚園、学校などの集団生活の中で広がりやすいのが特徴です。

溶連菌は迅速検査で容易に診断できるのですが、注意点があります。溶連菌はこどもののどにいる「常在菌」のひとつであって、検査で陽性だからといって必ずしも溶連菌が原因の発熱とは言い切れない点です。溶連菌感染症では咳や鼻みずはむしろ出づらいため、これらの症状が強いときは検査が陽性でも他のウイルス等の感染の可能性が高くなります。

感染の経路には、大きく分けて以下の2つのパターンがあります。

  • 飛沫(ひまつ)感染・・感染している人のせきやくしゃみ、会話の際に出るしぶきを吸い込むことで感染します。
  • 接触感染・・細菌が付着した手で口や鼻に触れたり、おもちゃやタオルの貸し借りなどを通じて感染します。

潜伏期間は通常2日から5日程度と言われています。きょうだいがいるご家庭では、一人感染すると家庭内で次々にうつってしまうことも珍しくありません。手洗いやうがいの徹底はもちろん、食器やタオルの共有を避けるといった工夫が有効です。また、大人の方も感染することがあり、その場合はのどの痛みが非常に強く出ることが多いため注意が必要です。当院では保護者の方々の検査、治療も行っています。

溶連菌感染症の病気の種類について

溶連菌が引き起こす病気は、単なるのどの炎症(咽頭炎)だけではありません。感染した部位や全身への反応の違いによって、いくつかの病態に分かれます。これらを正しく把握し、適切に対処することが、お子さんの健やかな成長を守る上で重要です。

咽頭炎・扁桃炎

最も一般的な形態で、のどの粘膜や扁桃(へんとう)に炎症が起こります。急激な痛みと熱が主症状です。

猩紅熱(しょうこうねつ)

溶連菌が出す毒素によって、全身に細かい赤い発疹が出る状態を指します。以前は法定伝染病として恐れられていましたが、現代では抗菌薬がよく効くため、過度に心配しすぎる必要はありません。

皮膚の感染症(とびひなど)

溶連菌は皮膚に感染することもあり、伝染性膿痂疹(とびひ)の原因になることがあります。

重大な合併症への注意

溶連菌感染症で最も注意すべきなのは、急性糸球体腎炎やリウマチ熱といった後遺症のような合併症です。これらは感染から数週間後に発症することがあり、むくみや血尿、関節の痛み、心臓の炎症などを引き起こす可能性があります。これらのリスクを低減させるために、症状が消えた後も抗生剤を飲み切ることが非常に大切です。腎炎では肉眼的血尿(コーラや濃いウーロン茶のような色になります)、浮腫(目の上のまぶたがはれぼったくなるのが一番わかりやすいです)について、診断後1ヶ月以内は注意してください。

溶連菌感染症の治療法について

溶連菌感染症の治療の基本は、原因となっている細菌をやっつけるための抗菌薬(抗生剤)の服用です。ウイルス性のかぜであれば自身の免疫力で治るのを待ちますが、溶連菌の場合はお薬の力を借りる必要があります。当院では、検査で陽性と判明した場合、速やかにお子さんに合った抗菌薬を処方します。

治療の流れと注意点は以下の通りです。

  • 抗菌薬の服用・・ペニシリン系やセフェム系といったお薬を通常10日間、あるいは5日間ほど服用します。服用を始めて24時間から48時間以内には熱が下がり、のどの痛みも改善してくることがほとんどです。逆に、検査が溶連菌陽性であっても熱の症状が続くときは他の原因を考える必要がるため、受診をおすすめします。
  • 水分補給と食事・・のどが痛い間は、熱いものや酸味の強いもの、硬いものを避けます。ゼリーやプリン、冷めたうどんなど、のどごしの良いものを選んであげてください。
  • 安静・・熱がある間はご自宅等でゆっくり休み、体を休めることが大切です。

ここで保護者の方々に特にお願いしたいのは、症状が良くなったからといって、自己判断でお薬を止めないでくださいということです。途中で服用を止めると、細菌が体内に残り、再発したり合併症を引き起こしたりするリスクが高まります。処方された期間分、最後飲み切ることが大切です。

溶連菌感染症についてのよくある質問

Q1. 登園や登校はいつから可能ですか?

A1. 一般的には、適切な抗菌薬の服用を開始してから24時間が経過し、熱が下がって本人の元気があれば登園・登校が可能になります。感染力が非常に弱まるためです。通われている園や学校の規定もありますので、受診の際にご相談いただければ、当院で登園許可に関する書類等の作成も行います。

Q2. お風呂は入っても大丈夫ですか?

A2. 高熱がなく、本人が元気であれば、さっとシャワーを浴びたり短時間入浴したりすることは問題ありません。ただし、体力を消耗しやすいので、長湯は避けて手早く済ませるようにしてください。

Q3. 家族にうつらないか心配です?

A3. 飛沫感染が多いため、看病をする方はマスクを着用し、手洗いをこまめに行うことが大切です。タオルやコップの共用も避けましょう。もし、ご家族の方に強いのどの痛みや発熱が出た場合は、早めに受診してください。

Q4. 検査は痛いですか?

A4. 検査は綿棒でのどの奥を数回ぬぐうだけですので、数秒で終わります。一瞬オエッとした感じがあるかもしれませんが、痛みは強くはありません。

Q5. 治った後に尿検査が必要と聞いたのですが?

A5. かつては溶連菌の診断後、2週間後に決まりごとのように尿検査をしていましたが、当院では診断後1ヶ月以内は肉眼的血尿やむくみに注意していただき、症状があれば受診して検査を受けるようにお伝えしています。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME

Chat Icon