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水ぼうそう

水ぼうそうは、かつては多くのお子様が経験する一般的な病気でしたが、予防接種の定期化により、近年では見かける機会が少なくなりました。しかし、現在でも集団生活の中で流行することがあり、適切な診断とケアが必要です。

水ぼうそうの症状について

水ぼうそうの主な症状は、全身に広がる強いかゆみを伴う発疹と、それに伴う発熱です。発疹は、最初は小さな赤い斑点のような形をしており、数時間から1日のうちに盛り上がった湿疹(丘疹)へと変化し、さらにその中心に液体を含んだ水ぶくれ(水疱)へと変わっていきます。多くの場合、適切な治療によって自然に治癒する病気ですが、年齢や免疫の状態によって重症化したり、異なる経過を辿ったりすることがあります。一般的に小児期の発症は軽症で済むことが多いですが、成人になってからの感染は重症化しやすい傾向があります。

水ぼうそうの発疹には、以下のような特徴的な経過があります。これらが混在している状態を確認することが、診断の大きな決め手となります。

  • 紅斑(こうはん)・・皮膚の表面に現れる平らな赤い斑点。
  • 丘疹(きゅうしん)・・赤い斑点が少し盛り上がった状態。
  • 水疱(すいほう)・・中に透明な液体が溜まった、みずみずしい水ぶくれ。
  • 膿疱(のうほう)・・水ぶくれの中が少し濁った状態。
  • 痂皮(かひ)・・水ぶくれが破れたり乾燥したりしてできた、黒っぽい「かさぶた」。

水ぼうそうの発疹は、まず体幹(お腹や背中)から始まり、顔や頭皮、手足へと急速に広がっていきます。口の中や目、陰部などの粘膜にできることもあり、その場合は痛みを感じることがあります。また、多くの場合は38度前後の熱が出ますが、お子様によっては高熱が出る場合もあれば、全く熱が出ない場合もあります。

すべての発疹がかさぶた(痂皮)になるまでには、通常1週間から10日ほどかかります。すべてがかさぶたになるまでは、周囲へ感染させる力が非常に強いため、登園や登校は控える必要があります。

水ぼうそうの原因について

水ぼうそうを引き起こす原因は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)という非常に感染力の強いウイルスです。このウイルスはヘルペス属というグループに属していて、一度感染すると生涯にわたって体内の神経節という場所に潜み続ける性質を持っています。初めて感染したときに「水ぼうそう」として発症し、大人になってから免疫が低下した際などに再び活動を始めると「帯状疱疹」という病気を引き起こします。ちなみに口周りにできるヘルペスや、突発性発疹の原因ウイルスもこのヘルペス属の仲間になります。

水ぼうそうの感染経路は非常に多様で、主に以下の3つのルートを通じて広がります。これが、学校や保育園などで集団感染が起こりやすい理由です。

  • 空気感染・・ウイルスが空気中に漂い、それを吸い込むことで感染します。同じ部屋にいるだけで感染する可能性があります。
  • 飛沫感染・・咳やくしゃみによって飛び散った飛沫に含まれるウイルスを吸い込むことで感染します。
  • 接触感染・・水ぶくれの中に含まれるウイルスに直接触れたり、ウイルスが付着したタオルや食器などを介して感染したりします。

潜伏期間は通常2週間程度(10日から21日)とされており、感染してから症状が出るまでに時間がかかるのが特徴です。発疹が出る1日から2日前から、すでに周囲への感染力が始まっているため、知らない間に周囲に広めてしまうことがあります。

重症化した場合(合併症)

まれにウイルスが原因で合併症を引き起こすことがあります。代表的なものとして、皮膚の細菌感染肺炎脳炎などが挙げられます。発疹をかき壊して細菌が入ると、「とびひ」のページで解説しているような二次感染を起こし、跡が残りやすくなるため注意が必要です。

新生児水痘

お母さんが分娩の直前や直後に水ぼうそうを発症した場合、生まれたばかりの赤ちゃんに感染することがあります。新生児は免疫が未発達なため、重症化のリスクが非常に高く、慎重な管理と治療が不可欠となります。

大人になってからの再発(帯状疱疹)

子供の頃に水ぼうそうにかかった後、体内に潜んでいたウイルスが再活性化することで起こります。体の片側に帯状に強い痛みと発疹が現れるのが特徴です。お子様が水ぼうそうにかかった際、同居のご家族に帯状疱疹の既往がある場合も、注意深く見守る必要があります。

水ぼうそうの治療法について

水ぼうそうの治療は、ウイルスそのものを抑える「原因療法」と、不快な症状を和らげる「対症療法」の両面からアプローチします。当院では、お子様の年齢や症状の程度に合わせて、最適な処方を行っております。

抗ウイルス薬の使用

ウイルスの増殖を抑えるアシクロビルバラシクロビルなどの飲み薬を使用します。これらの薬は、発疹が出てから48時間(2日)以内に服用を開始すると、発熱期間を短縮し、発疹の広がりを抑える効果が期待できます。早期に受診いただくことが重要です。昔はカチリという白い塗り薬を使用していましたが、有効性を示すデータがないため基本的には処方しておりません。(ただし白いポツポツした状態にした方がこどもが触らないので不潔になりにくくてとびひの予防になるのでは?と思うことはあります。)

解熱鎮痛剤の注意点

熱が高い場合には解熱剤を使用することもありますが、水ぼうそうの際には使用してはいけない解熱剤があります。特にアスピリン(サリチル酸系製剤)を使用すると、ライ症候群という重篤な脳症を引き起こす恐れがあるため、必ず医師の指示に従ってください。

家庭でできるケアとしては、爪を短く切り、皮膚を清潔に保つことが大切です。かゆみが強い場合は、保冷剤をタオルで包んで冷やしてあげると、一時的にかゆみが和らぐことがあります。

水ぼうそうの予防とワクチンについて

水ぼうそうは、予防接種によって高い確率で防ぐことができる病気です。現在、日本では水痘ワクチンは定期接種となっており、無料で受けることができます。

  • 接種回数・・合計2回の接種が必要です。
  • 1回目・・生後12か月から15か月の間に接種します。
  • 2回目・・1回目の接種から6か月から12か月の間隔(最低3か月以上)をあけて接種します。

ワクチンの詳細については、「1歳以降に接種推奨の予防接種」のページもご覧ください。1回の接種でも重症化を防ぐ効果がありますが、2回接種することでさらに予防効果が高まります。

また、もし水ぼうそうの方と接触してしまった場合でも、72時間(3日)以内に緊急でワクチンを接種することで、発症を予防したり軽く済ませたりできる可能性があります。

水ぼうそうについてのよくある質問

Q1. お風呂には入っても大丈夫ですか?

A1. 発熱があるときや、水ぶくれがひどいときは控えてください。熱が下がり、こどもの元気があれば、シャワーで皮膚を清潔に保つことは良いことですが、ゴシゴシ擦らないように注意しましょう。タオルで拭くときも、優しく押し当てるようにしてください。

Q2. いつから保育園や学校に行けますか?

A2. 学校保健安全法により、すべての発疹がかさぶた(痂皮)になるまでは出席停止と定められています。通常は発症から1週間程度です。登園・登校を再開する際には、診断が必要な場合がありますので受診してください。

Q3. 予防接種を受けていてもかかることはありますか?

A3. ワクチンを2回接種していても、まれにかかることがあります。しかし、その場合は「修飾水痘」と呼ばれ、発疹の数が非常に少なく、熱も出ないなど、極めて軽症で済むことがほとんどです。

Q4. 兄弟にうつりますか?

A4. 非常に感染力が強いため、一緒に生活しているご兄弟に免疫がない場合、高確率で感染します。ご兄弟がまだワクチンを済ませていない場合は、接触後すぐにワクチンを接種することで発症を抑えられる可能性があります。

Q5. 発疹の跡は残りますか?

A5. 通常は跡形もなく綺麗に治ります。しかし、強くかきむしって細菌感染を起こしたり、無理にかさぶたを剥がしたりすると、クレーターのような跡が残ることがあります。

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