副鼻腔炎
お子さんの鼻水がなかなか治らず、夜も寝苦しそうにしている姿を見るのは、親御さんにとっても本当につらいものですね。「ただの風邪かな?」と思っていても、実は鼻の奥にある空洞に炎症が起きる副鼻腔炎が原因であることがあります。副鼻腔とは、鼻の穴(鼻腔)の周りにある、骨に囲まれた小さな空洞のことで、生まれてすぐは僅かなスペースしかなく、乳幼児の間は副鼻腔炎はあっても軽度のものが多いことがわかっています。徐々に大きくなって小学生ぐらいには十分な空洞が形成されるため、特に小学生以上のお子さんでは副鼻腔炎のことを常に念頭に診療しています。
副鼻腔炎の症状について
副鼻腔炎の症状は、単なる鼻風邪と似ている部分が多く、見分けるのが難しい場合があります。しかし、放置すると症状が長引いたり、他の病気を引き起こしたりすることもあるため、注意深い観察が必要です。主な症状としては、以下のようなものが挙げられます。
鼻水の変化と鼻づまり
初期の風邪ではサラサラした透明な鼻水が出ますが、数日で粘り気のある黄色や緑色の”膿性”鼻水に変わります。さらに奥にある副鼻腔に炎症を起こすと膿性鼻水が鼻の奥に溜まることで、強い鼻づまりを感じるようになります。お子さんが常に口呼吸をしていたり、鼻声になっていたりする場合は、副鼻腔炎の可能性を考えます。
鼻みずの詳細については「鼻みず」のページを参照してください。
鼻づまりの詳細については「鼻づまり」のページを参照してください。
後鼻漏(こうびろう)による咳
鼻水が鼻の穴から前に出てくるだけでなく、喉の奥の方へ垂れていく状態を「後鼻漏」と呼びます。これが原因で喉が刺激され、湿った咳が出ることがあります。特に寝入りや朝起きた時に絡んだ咳がひどい場合は、鼻水が喉に流れ込んでいるサインかもしれません。
せきの詳細については「せき」のページを参照してください。
顔の痛みや頭痛
副鼻腔に膿が溜まって圧力がかかると、頬や目の周り、おでこのあたりに痛みを感じることがあります。診察室で顔をトントンと叩いているときは副鼻腔炎のことを想定しています。小さなお子さんの場合は「痛い」と言葉で表現できず、不機嫌になったり、顔を触るのを嫌がったりすることで痛みを示している場合もあります。
頭痛の詳細については「頭痛」のページを参照してください。
その他の症状
- 鼻や口から嫌な臭いがする(自覚症状または周囲が気づく場合)
- 食べ物の味がわかりにくくなる(嗅覚の低下)
- 発熱が数日続く、または一度下がった熱が再び上がる
- 集中力の低下やイライラ感
副鼻腔炎の原因について
ウイルスや細菌の感染
最も多いきっかけはかぜです。かぜのウイルスによって鼻の粘膜に炎症が起きると、副鼻腔と鼻腔を繋いでいる小さな穴が塞がってしまいます。すると、副鼻腔の中の換気ができなくなり、溜まった粘液に細菌が繁殖して膿が溜まるようになります。
アレルギー性鼻炎の影響
花粉症やダニなどのアレルギー性鼻炎があるお子さんは、常に鼻の粘膜が腫れている状態です。そのため、副鼻腔の出口が塞がりやすく、感染を起こしやすい傾向にあります。アレルギーと副鼻腔炎を併発しているケースも多く見られます。
環境要因と体質
乾燥した空気やタバコの煙などの刺激、また鼻の構造的な特徴(鼻中隔が曲がっているなど)も原因になることがあります。また、集団生活を送っているこどもたちは、繰り返しウイルス感染を受けるため、副鼻腔炎が治りきる前に次の感染を起こしてしまうこともあります。
副鼻腔炎の病気の種類について
副鼻腔炎はその経過や原因によって、いくつかの種類に分類されます。それぞれの特徴を知ることで、適切な治療方針を立てることができます。
急性副鼻腔炎
風邪などに続いて発症し、急激に症状が現れるタイプです。1カ月以内に治まるものを指します。黄色い鼻水、鼻づまり、発熱、顔の痛みなどが主な症状で、適切な薬物療法によって比較的早く改善することが期待できます。
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
急性の副鼻腔炎が治りきらず、症状が3カ月以上続いている状態を指します。いわゆる「蓄膿症(ちくのうしょう)」と呼ばれるものです。鼻粘膜の腫れが定着してしまい、膿が慢性的に溜まっているため、根気強い治療が必要になります。
アレルギー性副鼻腔炎
アレルギー性鼻炎がベースにあり、それに関連して副鼻腔炎を繰り返すタイプです。鼻水のコントロールが難しく、アレルギーの治療(抗アレルギー薬の服用など)と並行して副鼻腔のケアを行う必要があります。
好酸球性副鼻腔炎(こうさんきゅうせいふくびくうえん)
近年、大人に多いとされていますが、喘息を合併しているお子さんにも注意が必要な特殊なタイプです。鼻の中にポリープ(鼻茸)ができやすく、一般的な抗生剤が効きにくいという特徴があります。嗅覚障害が強く出ることがあります。
気管支喘息の詳細については「気管支喘息」のページを参照してください。
副鼻腔炎の治療法について
当院では、お子さんの負担を最小限に抑えつつ、しっかりと鼻の通りを改善させる治療を行っています。治療の柱は「溜まった膿を取り除くこと」と「炎症を抑えること」です。
鼻吸引(鼻吸い)
まだ自分で上手に鼻をかめないお子さんにとって、鼻吸引は非常に効果的な治療です。専用の機器を使って鼻の奥に溜まった粘り気のある鼻水を吸い出すことで、鼻の通りを良くし、呼吸を楽にします。
当院では看護師による鼻汁吸引を積極的に行っておりますので、鼻吸いだけで通院していただいても大丈夫です。
薬物療法
症状に合わせて、以下のようなお薬を処方します。症状が改善したからといって自己判断で中断せず、指示された期間しっかりと服用することが大切です。
- 抗菌薬(抗生物質)・・細菌の繁殖を抑え、炎症を鎮めます。
- 抗アレルギー薬・・アレルギーが関与している場合に、鼻水の分泌を抑えます。
- 点鼻薬・・鼻粘膜の腫れを一時的に抑え、鼻の通りをスムーズにします。
副鼻腔炎についてのよくある質問
Q1. かぜの鼻水と副鼻腔炎の鼻水はどう違いますか?
A1. かぜの引き始めは透明でサラサラしていますが、数日で白濁、黄色、緑色の濁った鼻汁になり、通有情は1週間程度でおさまります。粘り気のある鼻水が1週間以上長引いたり、鼻声が続いていたりするようになってきたら副鼻腔炎を起こしている可能性が高くなってくるため、受診をおすすめします。
Q2. 鼻を吸うだけで病院に行ってもいいのでしょうか?
A2. もちろんです。鼻を吸うことは立派な治療の一つです。鼻が詰まっていると夜眠れなかったり、中耳炎の原因になったりすることもあります。鼻吸引のみのご来院も遠慮ならさずにご予約ください。1日以上発熱が無ければ無熱外来をご予約いただいても大丈夫です。
Q3. 副鼻腔炎はうつりますか?
A3. 副鼻腔炎そのものが他人にうつることはありません。ただし、原因となった風邪のウイルスなどは周囲に広がる可能性があります。
Q4. 中耳炎も一緒に起こることが多いと聞きましたが本当ですか?
A4. はい。鼻と耳は「耳管(じかん)」という管で繋がっています。副鼻腔炎で鼻の中に細菌が増えると、その細菌が耳管を通って耳の中に入り込み、中耳炎を引き起こしやすくなります。耳を痛がったり、聞こえが悪そうだったりする場合は早めにご相談ください。
Q5. 水泳は続けても大丈夫でしょうか?
A5. 症状が強い時期や熱がある時は控えるのが無難です。鼻水が溜まった状態で潜ったりすると、圧力の変化で症状が悪化したり、耳に影響が出たりすることがあります。回復具合を見て再開の時期を判断しますので、診察時にご相談ください。
